C・チャップリン監督・主演(1940年、米国)。
言うまでもない「名作」だが、近くのホームセンターで
500円くらいのDVDで売っていたので買ってみた。
20年位前に、TVで見たとき、
この映画のラストシーン近くの例の”大演説”のシーンに、
なにか、すっきりとしないものを感じた。
・・・というと「お前は全体主義者か」とか「民主主義を否定するのか」
とか「チャップリンのヒューマニズムを理解できないなんてかわいそう」
とか、とにかくいろいろ言われそうだが、
そういうことでは、ない。
あの場面で演説を始めたのは「独裁者ヒンケル」ではなく、
「ユダヤ人の理髪師」、であることは言うまでもない。
ただ、それは映画を見ている私(たち)には自明のことでも、
作中の登場人物でそれを知っているのは、ほとんどいないはずなのだ。
とすると、あの演説が終わったあとに、(作中の)多数の聴衆が
大喝采を送ったのは、
「その演説の内容に賛意を示した・あるいは感動した」からなのだろうか?
それとも
「独裁者ヒンケルの言葉だから、そうしないわけにはいかなかった」
という意味なのだろうか?
「いや、あの演説は「作中の理髪師の台詞」ではなく、
チャップリン個人の意見表明なのだ」
という解釈も、もちろん成立すると思う。
しかし、その場合には、私はもっと居心地が悪くなる。
チャップリンは、自分の個人的なメッセージに大喝采が送られる、
というシーンを堂々と撮り、公開したのか、と。
今回、改めてDVDで見て・・・結局その疑問はそのまま、だった。
そして、ある意味、それでいいのかも知れない、とも思った。
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